皮膚科・美容皮膚科
にきび(尋常性ざ瘡)
にきびの原因
にきびと言ってもさまざまな原因から生じることがあります。発生因子としてまず重要なものは以下の4点があげられます。
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ホルモンバランス(アンドロゲン分泌上昇)
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皮脂(分泌過剰)
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角化異常(毛穴のつまり、角栓形成)
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細菌感染(アクネ(にきび)菌の増殖・感染)
これ以外の要素でもにきびができることがあり、またにきびに似た症状を示す疾患(ニセにきび)もあるので、皮膚科専門医による的確な診断、ひとりひとりの肌に適した治療法を選ぶ必要があります。
にきびのその他の原因
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毛包虫(ニキビダニ):成人女性の難治性にきびの原因であることがあります
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遺伝
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年齢
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生活因子(不潔な環境、不規則な生活、食生活の乱れ、ストレス)
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化粧品(毛穴のつまり
などがあり、これらの原因を見直しながら治療していくことが重要です。
にきびと似た症状を示す疾患
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マラセチア毛包炎:マラセチアというカビが毛穴に増殖することで生じます
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せつ(面疔):主に黄色ブドウ球菌感染で、毛穴の深い部分の炎症です
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扁平疣贅(平らなイボ):ヒト乳頭腫ウイルスによるウイルス感染です
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酒さ/酒さ様皮膚炎:ニキビダニが増殖してにきび様になることがあります
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顔面播種性粟粒性狼瘡(LMDF):近年は酒さと同じ疾患と考えられています
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好酸球性膿疱性毛包炎(EPF):好酸球(白血球成分)が毛包に浸潤してできます
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偽リンパ腫:虫刺されや傷などを契機にリンパ球が増えて赤いしこりになります
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ざ瘡型薬疹:特定の薬物(分子標的薬など)内服による副作用です
これらの疾患は、年齢・性別、臨床症状、鏡検(カビの検査)、採血、皮膚生検などの検査をすることで鑑別可能です。それぞれ治療方法が異なるためしっかりと診断することが重要です。
にきびの治療
原則として、日本皮膚科学会の尋常性ざ瘡ガイドラインに準拠した治療を行います。しかし既存の治療で改善が認められない場合もあり、ひとりひとりの症状に合わせた治療方針、治療薬を選択することがあります。その場合、保険診療では処方できないものもありますので、ご気軽にご相談下さい。
殺菌効果のある外用:
抗生剤外用剤:クリンダマイシン(ダラシンT®)、ナジフロキサシン(アクアチム®)
過酸化ベンゾイル(ベピオゲル® 、デュアック®配合ゲル)
毛穴のつまりをとる外用:
アダパレン(ディフェリンゲル®)
過酸化ベンゾイル(ベピオゲル® 、デュアック®配合ゲル)
アダパレン・過酸化ベンゾイル合剤(エピデュオゲル®)
アゼライン酸*(AZAクリア®)
トレチノイン*
細菌を殺す(抗生物質)内服:静菌性抗生物質が中心
ミノサイクリン(ミノマイシン®)
ドキシサイクリン(ビブラマイシン®)
ロキシスロマイシン(ルリッド®)
毛穴のつまりをとる内服:
イソトレチノイン**(アキュテイン®)
ビタミン剤:症状にあわせて処方することがあります
ビタミンB2、B6: 皮脂分泌抑制
ビタミンC(アスコルビン酸):美白
ビタミンE:過酸化脂質抑制
ケミカルピーリング:自由診療でおこなう治療です
サリチル酸マクロゴール(30%)
グリコール酸・乳酸(20%、30%)
グリコール酸(7%):ホームピーリング用
注意)
*保険診療外ですが欧米ガイドラインで有効とされています。クリニックで取扱いをしています
**イソトレチノインは難治性のにきびを対象としており、アキュテインを含め全てのイソトレチノインは国内未承認の薬です。当クリニックでは取扱いをしておりません。