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皮膚科領域の新しい薬あれこれ

5月〜6月にかけて皮膚科領域に新しい薬がいくつか発売になりました。

発売開始日、適応疾患、特徴などまとめてみました。


5月31日発売

ベピオローション2.5% 15g


適応疾患:尋常性ざ瘡


尋常性ざ瘡のコメド(白ニキビ)治療薬として使用しているベピオゲル(過酸化ベンゾイル)のローション基剤です。ローションとゲルの基剤の主な違いは水分量です。ローションは水分が多く、ゲルは水分が少ないため、ローションの方がゲルよりもさっぱりとした使い心地になります。また、ローションの方がゲルよりも伸びが良く塗りやすいという利点があります。しかしローションの方がゲルよりも浸透しにくいため、ゲルの方が保湿力が高いという違いがあります。肌の質(脂性肌はローション、乾燥肌はゲル)、季節(夏はローション、冬はゲル)などで選択すると良いと思います。


6月1日発売

アポハイドローション20%


適応疾患:原発性手掌多汗症


原発性手掌多汗症(手汗)に対して使用する初めての外用剤です。注)原発性とは他に多汗をおこす原因や疾患がないということです。


オキシブチニン塩酸塩による抗コリン作用により、交感神経から汗腺に汗を出す指令をするアセチルコリンの働きを阻害することで汗をかかないようにします。原発性腋窩多汗症ではエクロックゲル、ラピフォートワイプなどの同じ作用の外用剤がすでに発売しています。


1日1回就寝前に塗布します。副作用は抗コリン作用によるドライマウス(口渇)、外用により生じる接触皮膚炎(かぶれ)などがあります。前立腺肥大症のある方は尿閉、甲状腺機能亢進症のある方は頻脈、潰瘍性大腸炎の方は中毒性巨大結腸などの症状が出ることがあるため、処方前に医師と相談することをおすすめします。


発売日未定

アドトラーザ皮下注150mg


適応疾患:アトピー性皮膚炎(既存治療で効果不十分なもの)


3月に薬価収載されたものの、日本発売用の薬剤に異物混入があり発売時期(当初は5月予定)が未定となっています。


デュピクセント(IL-4、IL13)、ミチーガ(IL-31)に次ぐ、3番目の生物学的製剤です。


インターロイキン(IL)は、免疫細胞やその他の細胞から分泌されるタンパク質です。ILは、細胞間のコミュニケーションを調節し、免疫応答、炎症反応、細胞の増殖や分化など、生体にさまざまな影響を与えます。ILは現在までに200種類以上が同定されており、アトピー性皮膚炎ではIL-4、IL-13、IL-31などが関与しています。


IL-4は、T細胞やB細胞などの免疫細胞の活性化に関与しています。また、IL-4は、好酸球や肥満細胞などの炎症細胞の増殖や活性化にも関与しています。


IL-13は、IL-4と似た作用を持ちますが、IL-4よりも好酸球や肥満細胞の増殖や活性化に効果的です。


IL-31は、皮膚の表皮細胞や神経細胞に作用し、炎症や痒みを引き起こします。


皮膚の乾燥や赤み・皮膚バリア機能低下による皮膚症状にはIL-4、IL-13が作用しており、デュピクセントやアドトラーザが有効です。かゆみが強いアトピー性皮膚炎の場合はIL-31に作用するミチーガが適応になります。


デュピクセントとアドトラーザはともにIL-13に効果を得ますが、作用の仕方が異なります。デュピクセントはIL-13が細胞とくっつくことをブロックしますが、アドトラーザはIL-13に直接くっついて効果が出ます。データ上はアドトラーザの方が長期予後がよく、皮疹抑制していますが、実際に使用してみないとわからないところです。


また、自費治療では巻き爪治療のために使用するリネイルゲルも発売されています。





 
 
 

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